技能実習、特定技能制度の見直し
2022年1月7日 古川法務大臣が年頭所感を述べ、技能実習や特定技能制度について「これらは今見直しの時期を迎えている。この際、大胆に見直し対応に取組みたい」と二つの制度の抜本的な見直しを進めす意向を示したとの事です。
技能実習制度については「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が2017年11月1日に施行されましたが、5年後の見直しが当初から予定されており、制度の廃止を含めての検討となりそうです。「本音」と「建前」の乖離の問題や、最低賃金での契約が多いことや、原則転職できない制度のため、諸外国から奴隷制度と揶揄され、失踪者が大量発生する状況(2020年技能実習生の失踪約5,885名実習生の1.2%)となっていますので、これらの問題を解決できないのならば廃止もやむなしではないでしょうか。
特定技能制度については2019年4月施行され、当初5年間で34万人超の受入れ見込みとされていましたが、2年後の2021年9月で38,337名に留まっています。コロナ渦の影響もあるかと思いますが、全然少ないですね。原因としては、「制度の煩雑さ」があると思います。受入れする外国人の母国によっては国の認証手続きが必要であったり、受入れ機関が要件を満たす必要があったり、中小企業にはハードルが高いと感じます。また、建設業では受入れ計画の国交省の認定が必要とされ、受入れ機関が必ず(一社)建設技能人材機構に加入していなくてはいけないという要件があります。この機構には年会費や特定技能外国人ひとりにつき最低でも月12500円の受入れ負担金の支払いが生じますので、この負担金を考えて特定技能外国人の雇用に二の足を踏んでいる企業も多いと思います。
二つの制度の抜本的な見直しが必要であることは明らかですが、見直しに際しては最終的な目的は日本の国益に資することとしていただきたいです。日本で働く外国人と受入れする日本国の両方がWINWINの状況となるような見直しが行われる事を切に希望します。